i女性会議

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【声明】汚染水の海洋放出に断固反対する

本日(24日)午後13時より政府と東京電力は福島県漁連との約束を破り、汚染水を海に流すという。

I女性会議は、これまでも反対の声をあげてきたが、以下の点において、改めて海洋放出に反対し、本件にまつわる言論の歪みに対しての懸念を表明する。さらに、政府と東京電力が海洋放出を断念し、誠意ある話し合いを漁業者をはじめとする関係者、被災者、福島県民、アジア太平洋諸国等と行い、地球環境と子どもたちの未来に禍根を残すことのない処理方法を検討するよう要望する。

【反対理由】

. 約束の反故

2015年に国、東電それぞれが文書で交わした福島県魚連との約束「関係者の理解なしにはいかなる処理も行わない」を破り、本格操業にむけて漁業者が努力し続けてきた思いを踏み躙った。

. 費用の膨張

安価であるという理由で選択した海洋放出にかかる費用は膨らみ続け、当初の34億円から1200億円を超えるという試算も出ている。

. 放出期間の延長

88ヶ月とされた放出期間だが、数十年にわたることが明らかになっている。

. モルタル固化、大型タンク陸上保管などの代替案の無視

費用・放出期間等の前提が崩れてもなお、数々挙げられてきた代替案について改めて十分に議論、検討することがなかった。

. いまだに総量が不明

次世代への責任を考えると、放出する放射性物質の総量が重要だが、一切明示されないまま放出しようとしている。

. すでに大量に放出

他国の放出量を比較し、「他国のほうがたくさん流している」という言説が散見されるが、日本は、福島原発事故直後から、大量の放射性物質をすでに、流出・漏洩・意図的放出等していること、2013年にはレベル3と評価された汚染水(数千テラ(=兆)ベクレル)のタンク漏洩事故を起こしていることをメディアや国民に改めて明示すべき。

 

【懸念事項】

1. 言葉狩りと責任転嫁

「汚染水」という言葉や、汚染水への不安を語る言葉に対し、「風評加害」とレッテルを貼り言論を封じ、事故加害者を責めずに、健康被害を恐れる消費者・被害者が加害者であるかのように責任を転嫁する言説が散見されること。

. 対話ができず報道も不正確

精緻な反論にも向き合わず、「感情的」と一蹴する傾向があり、メディアも正確に報じていない。特に、トリチウムの健康影響については科学的議論がし尽くされていないのに、健康影響がないかのように広報していることは問題である。

3. 東京電力への強い不信

タンク貯留水には、トリチウム以外の放射性物質の告示濃度総和1を上回る水が7割あるが、東京電力は2018年共同通信のスクープで報じられるまで公表しなかった。放水当日(8月24日)の重要な記者会見の情報についても、前日夜中にメディアに連絡し、物理的に参加できないメディアが発生するなど、情報公開への誠意が全く感じられない。

4. IAEAは「正当化」に対して言及していない

あたかもIAEAのお墨付きをもらったような報道があるが、IAEAは海洋放出にかかる「正当化」(リスクや害よりも便益が上回り、許容されるかどうか)や決定プロセス、長期的な環境影響への評価はしていない。

5. 次世代・世界への罪

日本だけの問題ではなく、次世代と世界の共有財産である海洋、環境に対する大きな罪を負うこと。

以上

2023年8月24日

I 女性会議

参考:

http://www.ccnejapan.com/?p=13899

https://foejapan.org/issue/20230822/14073/?fbclid=IwAR0drMBluzPyg5sUn9CGMz46Lz1EQJF9_xq06aAA3-A90Jon1tPf1xxTdXo#

https://cnic.jp/47363

注:

「汚染水」という呼称については、溶け落ちた核燃料を通過した水であること、たとえALPSで処理をしてもなお、トリチウム及び、それ以外の放射性核種が含まれていること(たとえ告示濃度総和比1以下であっても)、また、30核種しか測定しないこと等から、本来であれば「ALPS処理をしても汚染が残る水」と書くのが正確だが、I 女性会議は分かりやすく汚染水と呼ぶ。