投稿日:2024年11月12日
I女性会議第43回定期全国大会 決議文
軍拡政策の下で起きた国家権力による人権侵害と
言論弾圧を許さない決議
今年4月、鹿児島県警は、県医師会職員による性犯罪および警察官による女性盗撮事件を意図的に隠蔽し、このことを告発した県警巡査長を逮捕し、メディアに対する家宅捜索を行なった。 I女性会議鹿児島県本部は「鹿児島県警の性暴力軽視・隠ぺい体質を問う会」として、鹿児島県議会に百条委員会の設置を求めて要請行動を行なったが、10月9日、県議会は反対多数で設置は継続審議となった。百条委員会の設置を求める県民からの陳情22件も不採択となった。
今年6月には、沖縄で起きた米兵による16歳未満の少女に対する性暴力事件を、外務省が半年以上も隠蔽していたことが判明した。1995年の少女暴行事件を経て1997年に日米で合意された「米兵の事件・事故の通報手続き」が反故にされ、神奈川や青森、山口、長崎でも米軍関係者の性犯罪が隠されていたことも明らかになった。沖縄をはじめとして全国の米軍基地周辺で米兵から性暴力を受けながら、起訴もされず、警察に不当な扱いを受け、犠牲になってきた多くの女性たちのためにも、加害者を野放しにしてきた日米地位協定を改定するのは日本政府の義務である。自国民を守らない政府がめざす「国防」とはいったい何を守るのか。
国家権力が女性への性暴力を隠蔽し、内部告発者やメディアを弾圧する。これは民主主義の根幹を揺るがす暴挙である。これらの背景には、明らかに国の戦時体制化、軍拡政策がある。2022年の防衛三文書の改定、激増する軍事予算。経済界が軍需産業に群がり、学術界が軍事研究に突き進み、日米軍事一体化は急速に進んでいる。戦時における国民統治のための人権侵害・言論弾圧は国の常套手段であることは歴史が証明しており、一連の事件は大軍拡を進める今の日本の象徴的出来事である。今後、女性の尊厳や国民の知る権利、報道の自由よりも日米安保や軍事政策が優先されるような国家権力の対応は断じて許されない。私たちは、日米地位協定の改定を強く求め、立法府・司法・警察等各機関における抜本的な意識改革と制度・運用の改革を要望する。
以上、決議する。
2024年10月27日
I女性会議第43回定期全国大会